キャリアカウンセラーのメッセージ

「キャリア」「仕事」「就職・転職」に関する実情について、キャリアカウンセラーの立場から発信して参ります。

58. 最強のチームとリーダー

 いきなりで恐縮ですが「最強のチーム」と言う言葉から、皆様は過去実在する様々なチームで例えればどのようなチームを想像しますでしょうか。

  V9時代の読売ジャイアンツ、1985年の日本一になった阪神タイガースラグビーで一時代を築いた新日鉄釜石、あるいは神戸製鋼、もしくは長野オリンピックスキージャンプ陣、世界でみると、バルセロナオリンピックのバスケットボール米国代表(いわゆる、ドリーム・チーム)など等、個人の興味や関心によって色々出てくるでしょう。

 ところで、これらの歴史上、特筆すべき偉業を成し遂げたチームには必ず「リーダー」とされる方が存在するという点では共通するようです。先の例でも、簡単に思い当たるのではないでしょうか。

 いくら個々のプレーヤーが優秀でもそこに優れたリーダーが存在しないとチームはミッションを達成できないという点ではスポーツの世界も、ビジネスの世界も同じである模様です。

 前置きが長くなりましたが、現在、日本にはこの「リーダー」と称される方が、おそらく確実に減少しているのではないでしょうかというのが当方の問題意識です。無論、筆者の元に来談に来られる方だけを見てこのように捉えているではありません。当方の営業先の社長や役員の話を伺っても同じようなコメントを頂く次第です。

 その昔、当方は「今後10年以内に日本企業の管理職は半減する」と書きましたし、今でもその認識は変わっていませんが、「管理」職と「リーダー」は根本的に違うという点は強調したいところです。

 「管理」職は、本当に管理だけをする人で付加価値ゼロの高コスト人材と言っても結構です。が、「リーダー」は組織をまとめ上げ、結果として付加価値を提供し続けることのできる人材です。

 別に役職があろうがなかろうが、肩書きがなんであろうが結構です。組織の構成員と、少なくとも「ミッション達成のために必要な価値観を共有」し、その強力なリーダーシップによって、会社が期待する以上の成果を挙げることができる方です。

  よって、数字(=売上)を自分で作ることも要求されるでしょう。(数字で示すことの出来る成果を出せないリーダーには、今の時代、付いていこうとするメンバーはいません。)

 その分、リーダーに求められる条件や資質は一昔前には比べ物にならないくらい高くなっていますが、経済の成熟化を前提にすれば当然なのかもしれません。

  なので、最強のチームを作りたいというのであれば、まずリーダーとなりうる方が、どれだけ実績を残せるのかということがポイントになってくるのではと思います。

 部下とコミュニケーションを取るだけでリーダーとしての役割が果たせた時代は、とっくに過去のものです。


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57. 縁故による採用

 先日あった出来事です。中途採用の面接を予定していた当方の取引先において、面接予定の登録者(=求職者)を数名待たせている間に、取引先のからの紹介人材を役員の権限で採用決定へ、待たせていた登録者(=求職者)の面接は取りやめ「求人終了」という内容です。

 当事者の登録者(=求職者)からする気分の良い話ではないと思いますが、現実の採用の現場とはこんなものであるとも言える具体例です。つまり、

 

・取引先(あるいは既存社員)といった信用できるところからの紹介による人材は、「最も有力」である。

・採用する側も「会社」である以上、「より権限のある方」の決定には従わざるを得ない。

・採用にはできるだけお金はかけたくない。

 

と言った点です。さらにこれらの採用する側の要望を最も網羅するのが、

 

「社長(あるいは役員)の紹介、もしくは彼らの知人による紹介者の採用」

 

と言うことになるのでしょう。よって、もし行きたい会社があるのであれば、その会社の社長や役員(あるいは彼らに出来るだけ近い方)と知り合いになり、見込まれるような行動を取られることをお奨めする次第です。

 決して、無数の人材紹介会社に登録をしたり、来もしないスカウトメールを待つ為に無駄に転職サイトに登録をしたりするようなことが最善ではないということもご理解頂けると思います。

  縁故による採用が実現した場合、採用される側のもう一つのメリットは、ゼロから人間関係を構築しなくてもよいという点でしょう。転職とは即ち、新しい会社に移ることですので、分からないことだらけです。それはどんなにキャリアを積んだ方でも、エンプロイアビリティの高い方でも同じです。その状況下で気軽に何でも聞ける方がおられるのは心強い限りです。

 早期離職の大きな理由が、「入社直後の上司、部下、同僚との人間関係構築に失敗した為」という方が多いことを踏まえると、縁故採用の場合、早期離職のリスクも低減されると言えそうです。

  一方、デメリットは、採用に尽力頂いたキーパーソンがその会社からいなくなると、「あっという間に」社内力学も低下するということでしょうか。この点は是非、ご注意頂きたいところです。よって、もし、縁故採用でどちらかの会社に入社できたとしても、早期で高いパフォーマンスを示して、そのキーパーソンの後ろ盾がなくても社内で一目置かれるような存在になることが必要でしょう。

  先日も「はしごを外された」とコメントを発する「エグゼクティブ」(とされる?)人材と面談をさせて頂いた当方からのメッセージです


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56. ビジネススクールと転職

 ビジネススクールとは、お察しの通り、社会人向けの大学院のことです。会計や経営を学ぶものが主流でしょうか。いわゆるMBAと呼ばれるものも、この類に入りますね。

 ところで、現在、日本国内でも結構な数の社会人向け大学院が存在するようです。国公立大学から私立大学まで、ある程度の規模のあるほとんどの大学がこの社会人向けの大学院を設置しているのではないでしょうか。

 無論、自己啓発の一環として、就業しながら、(周りが遊んでいる)土日を使い、これらの大学院を利用して勉強をするのは当方も賞賛すべきことと認識しています。ただ、困るのは、これらの大学院を修了すれば、即、自分のキャリアにつながると誤解される方々の存在です。

 このような言い方をすれば大変失礼かもしれませんが、大学院もピンからキリまで存在します。決して学校名だけで判断するつもりはありませんが、内容の伴わない大学院も多数存在するようです。

 よく宣伝で「キャリアアップのためのMBA」とありますが、「何を持ってキャリアアップなのか?」も分からないまま大金と時間をつぎ込む愚を犯す前に、冷静になって考える必要があるでしょう。

 社会人大学院が転職やキャリアにプラスになるのは30歳前後までです。それ以降の年齢の方は、申し訳ありませんが何のプラスにもなりません。

 30代後半や、40代以降の方が、将来を見据えて社会人向け大学院に通学すること自体は結構なことです。しかし、それを「武器]と勘違いし、受かりもしない大企業への転職の近道や免罪符と考え、当方(のような人材紹介会社のコンサルタント)に、それらの大企業の求人案件の紹介を要請するのはご遠慮願いたい次第です。そもそも30代後半以降の選考基準は、簡単に言えば、

 

「どれだけ弊社に付加価値(=現金収入あるいは利益貢献)をもたらしてくれるか?」

 

の一点に尽きるわけで、MBAやどこそこ大学の修了証書など見向きもされないわけです。

 ましていわんや、学生時代にろくに勉強もせずに、「社会人になってから」勉強をした方への評価は、特に転職市場では辛らつです。もっと言うと、仕事を「辞めて」ビジネススクールや大学(院)に行き「直す」のは、愚の骨頂と評価されて終わりです。

 当方も大学院に在籍したことがありますので実感はできますが、思考力や論理力などの基礎能力を磨くトレーニングの場としては有効であると認識しています。

 ただし「基礎能力」だけでキャリアを積むことができ、転職できるのは何歳までかを考えれば、この話はそう難しいことではないと思います。繰り返しますが、ビジネススクールを修了すれば求人が増えるなどとは考えないほうが賢明です。


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55. プロが教える転職エージェントの選び方

 何を持って「プロ」というのか疑問ではありますが、転職エージェント(要は人材紹介会社です)の選び方を指南してくれるそうです。

 世の中に必要なのは「キャリア構築のアドバイスをして頂ける」「プロ」であるにもかかわらずです。

 現在の日本社会には、掃いて捨てるほどの数の「人材紹介会社」が存在するのは御承知の通りです。そうなると、人材紹介会社のランキングが何種類も出回ったり、人材紹介会社に一括して登録ができるサイトができたり、挙句の果てには人材紹介会社に転職をさせる専門の人材紹介会社があったりと、「日本社会に何の新しい付加価値を提供しているのか甚だ疑問」な輩も増えてくるのは世の常です。

 繰り返しになりまして恐縮ですが、この仕事は日本語さえ理解できれば「誰でも」できます。入社1週間でも「コンサルタント」になれる業界です。「浅はかな知識」と「体力だけの営業」で「コンサルタント」になれるのは、おそらく日本国内の人材紹介会社だけでしょう。

(ただし、いずれ定められた資格を取得していないと「キャリア・コンサルタント」の名称は使えなくなる模様ですが・・・)

 そのような素人同然の「コンサルタント」が数年程度仕事をすれば、大体全容が見えてくるのもこの業界の特徴かもしれません。それらの方々が、おそらく「プロ」と称して転職エージェントの選び方を(何を根拠にしてかは不明ですが)指南してくれるのでしょう。児戯に等しい次第です。

 また、人材紹介会社のランキングも色々種類があって、各社とも何らかのランキングで1位などと言っているで、どれをあてにしたら良いのかも判らなくなります。そもそも少し勘の良い方ならお分かり頂けると思いますが、人材紹介会社を使った転職に関する評価は、原則、

 

・担当のコンサルタントとの相性

・登録者(=求職者)にとって内定の取れ、且つその方の希望に近い求人が「希望するタイミングで」あるかないか

 

に大きく左右されます。

(あくまでも原則です。一部、その登録者に合う求人を、人材紹介会社のコンサルタントが開拓してくれるようなケースもありますが、レアです。)

 

 上記の二点はあくまでも変数ですので、ランキング通りの結果になる、あるいは他人が高評価を下した人材紹介会社が当人にとって良いかどうかは、明らかに「不明」です。にもかかわらず、堂々と「選び方」を教えて頂ける「コンサルタント」というのはどれだけすごい方なのか、と思う次第です。


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54. ストレスのない環境

 あるCDAの先輩の話からです。その方はNLP神経言語プログラミング)を利用したストレス解消のサポートをフリーで行っておられます。その方がおっしゃるには、

 

「ストレスというと『悪』と思われますが、決してそうではない。適度なストレスは、自己成長には必要」

 

とのことです。つまり、筋肉を鍛えるのにはトレーニングという適度な負荷が必要なのと同じで、何のストレスのない環境からは自己成長は産まれないというわけです。無論、過度なトレーニングが怪我につながるのと同じように、過度のストレスが体調に支障を来たすということは言うまでもありません。大事なのは「ストレスとどう付き合うか」ということです。

 確かに、色々な方々と面談させて頂いた当方の経験からも、様々な困難を克服されてきた方の話のほうが聞いていて面白いですし、単にストレスから逃げてこられたキャリアの方の話には緊張感や臨場感がありません。

 もっとも、ストレスのない環境を求めて転退職を繰り返す方々からは、自己成長のきっかけや起点といった概念も見出せないようです。

  そもそも仕事をする上で、ストレスのない環境(例えば、人間関係、業績のプレッシャー、長時間勤務、顧客対応、様々な社内調整等・・・)はありえないという認識をまずは持って頂かないと、その後のキャリア上の選択に致命的な失敗をしてしまうのではないでしょうか。

 新卒者も然り、中高年も然り、就職や転職、再就職に際して「働きやすい環境を求めて」などと美辞麗句を掲げて彷徨っている姿に接すると、自己成長の機会を逃していることに対して気の毒にすら思う次第です。

  ただし、ストレスが過度にかかると、様々な支障を来たすのも事実です。どのようにして、それらのストレスをコントロールするかの手段は持ち合わせる必要があるでしょう。

 その一つがカウンセラーや相談相手の確保になるのかもしれません。無論、お金がかかるケースもありますが、最も手軽なのは「社外」に出来るだけ多くの相談相手を持つことでしょう。そういった意味でも、そのような人間関係を構築できる能力が要求されれる時代でもあるようです。

  ストレスのない環境で仕事をするということが理想郷のように探し求めるべき対象のように扱われ、それだけを目的に転職や会社選びをする風潮には、大いに疑問です。

 それを求める方々と、ストレスを自己成長の機会と認識する方々との間で、その後のキャリアという点ではさらに「二極化」が進行するということは当方も主張したい次第です。


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53. キャリア構築の主体は?

 表記のような質問があった場合、普通の感覚の方であれば「働く個人のキャリア構築は『その個人』が主体となって行う」と回答されるでしょう。決して、会社、組織、あるいは組織の上司ではないというのもご理解頂けると思います。

 会社や組織に、個人のキャリア構築を全て委ねてしまうリスクは、(シャープ社や以前のルネサス社を挙げるまでもなく)「かなり大きい」時代になってしまったということです。この辺の議論は、やはり学生時代にキャリア教育を受けた世代のほうが、理解頂けるようです。

 さて、「個人のキャリアは個人で構築すべき」というのが本当に理解されているのであれば、求人案件があろうがなかろうが、あるいは有効求人倍率が高かろうが低かろうが、大きな問題ではないと言えば極論すぎでしょうか。

 「希望の」求人案件がないことに不満を漏らす方、「雇用を何とかしろ!」と政府や行政に要求する方々、「求人を取って来い!」と人材紹介会社に要求する方々、世の中には色々おられますが、そもそも個人のキャリアは会社や組織がないと構築できないのでしょうか?

 仕事は顧客がいないと成り立ちません。これは職種、年齢、業界問わず成り立つ定理です。

 しかし「キャリア構築」は企業や組織がなくとも「その個人」が存在すれば可能です。あるいは「求人」がなくても可能です。組織がなければ組織を自分で作ればよいでしょうし、求人がなければ求人を作るところからキャリア構築を行えばよいだけの話です。

 このように書けば、(再)就職や転職活動で苦労されている方々から、「人材紹介会社のコンサルごときが、適当なことを言うな!!」とおそらく反響があるのでしょうが、転職や再就職時というキャリア構築の転換点における行動が「ひたすら履歴書を送るだけではないですよ」と言いたいだけの話です。

 おそらく、「キャリアは会社が用意してくれる」「私のポストは組織が用意してくれる」「然るべき権限を与えるようにヘッドハンターが交渉すべき」等と、時代錯誤な妄想に駆られている方々には、到底理解できない定理なのでしょう。理解できなくとも「将来にまで収入を得ることができた」時代ならそれでも問題はありませんでしたが、今はそんな時代でありません。

 沈没する業界に染まりきり、沈没する業界のノウハウや人脈を活かして再就職や転職をしたいと要求される方に遭遇すると、キャリアを会社に委ねてしまった方々の末路を思い知らされる次第です。

(無論、当方の勤務先もそうでしょうが)、10年先の身分まで保証してくれる会社や組織などは、もはや今の日本社会には存在しないのかもしれません。それを前提に、各々の生活事情等を踏まえてキャリア・デザインを行うべきなのでしょう。


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52. インターネットと転職活動

 現代の転職活動(就職活動でも同じですが)では、インターネットを使える環境が身近にないと様々な制約があります。学生の就活においてはサイトからのエントリーしか受け付けないという企業も少なくありません。

 一方で、転職に関する情報が入手できるサイトは無数に存在します。単純に求人情報を掲載しているサイトから、いわゆる「2ちゃんねる」のような、その会社の内部事情が分かる(とされる)サイトまで、その性質も多岐に渡ります。

 確かに、インターネットが利用できると、自宅で簡単に情報が入手できるという点では便利ですし、何より転職や(再)就職には「情報の有無」も重要な要素ですので、その存在自体を否定するつもりは、当方としても毛頭ありません。

 ただ、来談される方々を見ていると、会社を決める判断材料を全てそのようなサイトから得られる情報に委ねてしまっている登録者(=求職者)が多くなっていることが気になります。

 つまり、「自ら判断する」ことを放棄してしまっている方々が増殖しているということです。

 転職や(再)就職に際して、これから入社しようとする会社、あるいは入社しようかどうしようか迷っている会社の情報(特に社風、雰囲気、人間関係などの表に出ない情報)を100%入手するのは不可能です。

 与えられて数少ない情報だけで、入社後のことを想定しながらジャッジをするのは、確かに難しいことかもしれません。ただ、転職で成功している方は、そのような環境でも「自分で考え」「自分で判断し」「自分で覚悟を決めて」入社し、いろいろな意味で大きく変わった環境下で「自らを変化させ」、会社の求めるミッションに応えている方々ばかりです。

 

そのような方々と比較をすること自体、失礼な話ですが、

 

「この会社は2ちゃんねるで悪い噂しかないから辞退します」とか

「転職掲示板で内部がよくないと聞いているので応募しません」

 

とか言ってくる方々は、自分の会社選びという人生の大きな判断を「他者」から得られる情報のみで判断しているわけですから、すでにナンセンス極まりない話です。

(せめて、面接の場で「御社に関して○○という指摘がWebで多くみられますが、実際はいかがなのでしょうか?」と聞き、その上で「自分で判断」すればよいだけの話です。)

 おそらく転職に際しての情報をWebだけに頼る方々は、ほとんどが転職や(再)就職に「失敗」した方々です。それだけに、疑心暗鬼になり、唯一信頼できるのが「サイト」という心情も理解できなくはないです。

 ただ、転職や(再)就職に1回ならともかく、2回以上失敗した方の転職先は、おそらく「サイト」で多少悪く書かれる企業でしかないのも事実です。そのことを受け入れる覚悟と自ら考えて判断するという主体性がないと、次の転職や再就職は「無い」でしょう。

 社会復帰をしたければ、「自ら」動いて情報収集する、あるいはサイトに募集のない企業へ自ら、「自分という商品を売り込む」営業をするといった「サイト」に頼らない転職活動(興味がある方は当ブログの10月26日からの記事を参考ください。)に取り組まれるのも一つの手段です。そうすれば違った展開が見えてくるかもしれません。


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