キャリアカウンセラーのメッセージ

「キャリア」「仕事」「就職・転職」に関する実情について、キャリアカウンセラーの立場から発信して参ります。

56. ビジネススクールと転職

 ビジネススクールとは、お察しの通り、社会人向けの大学院のことです。会計や経営を学ぶものが主流でしょうか。いわゆるMBAと呼ばれるものも、この類に入りますね。

 ところで、現在、日本国内でも結構な数の社会人向け大学院が存在するようです。国公立大学から私立大学まで、ある程度の規模のあるほとんどの大学がこの社会人向けの大学院を設置しているのではないでしょうか。

 無論、自己啓発の一環として、就業しながら、(周りが遊んでいる)土日を使い、これらの大学院を利用して勉強をするのは当方も賞賛すべきことと認識しています。ただ、困るのは、これらの大学院を修了すれば、即、自分のキャリアにつながると誤解される方々の存在です。

 このような言い方をすれば大変失礼かもしれませんが、大学院もピンからキリまで存在します。決して学校名だけで判断するつもりはありませんが、内容の伴わない大学院も多数存在するようです。

 よく宣伝で「キャリアアップのためのMBA」とありますが、「何を持ってキャリアアップなのか?」も分からないまま大金と時間をつぎ込む愚を犯す前に、冷静になって考える必要があるでしょう。

 社会人大学院が転職やキャリアにプラスになるのは30歳前後までです。それ以降の年齢の方は、申し訳ありませんが何のプラスにもなりません。

 30代後半や、40代以降の方が、将来を見据えて社会人向け大学院に通学すること自体は結構なことです。しかし、それを「武器]と勘違いし、受かりもしない大企業への転職の近道や免罪符と考え、当方(のような人材紹介会社のコンサルタント)に、それらの大企業の求人案件の紹介を要請するのはご遠慮願いたい次第です。そもそも30代後半以降の選考基準は、簡単に言えば、

 

「どれだけ弊社に付加価値(=現金収入あるいは利益貢献)をもたらしてくれるか?」

 

の一点に尽きるわけで、MBAやどこそこ大学の修了証書など見向きもされないわけです。

 ましていわんや、学生時代にろくに勉強もせずに、「社会人になってから」勉強をした方への評価は、特に転職市場では辛らつです。もっと言うと、仕事を「辞めて」ビジネススクールや大学(院)に行き「直す」のは、愚の骨頂と評価されて終わりです。

 当方も大学院に在籍したことがありますので実感はできますが、思考力や論理力などの基礎能力を磨くトレーニングの場としては有効であると認識しています。

 ただし「基礎能力」だけでキャリアを積むことができ、転職できるのは何歳までかを考えれば、この話はそう難しいことではないと思います。繰り返しますが、ビジネススクールを修了すれば求人が増えるなどとは考えないほうが賢明です。


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