キャリアカウンセラーのメッセージ

「キャリア」「仕事」「就職・転職」に関する実情について、キャリアカウンセラーの立場から発信して参ります。

57. 縁故による採用

 先日あった出来事です。中途採用の面接を予定していた当方の取引先において、面接予定の登録者(=求職者)を数名待たせている間に、取引先のからの紹介人材を役員の権限で採用決定へ、待たせていた登録者(=求職者)の面接は取りやめ「求人終了」という内容です。

 当事者の登録者(=求職者)からする気分の良い話ではないと思いますが、現実の採用の現場とはこんなものであるとも言える具体例です。つまり、

 

・取引先(あるいは既存社員)といった信用できるところからの紹介による人材は、「最も有力」である。

・採用する側も「会社」である以上、「より権限のある方」の決定には従わざるを得ない。

・採用にはできるだけお金はかけたくない。

 

と言った点です。さらにこれらの採用する側の要望を最も網羅するのが、

 

「社長(あるいは役員)の紹介、もしくは彼らの知人による紹介者の採用」

 

と言うことになるのでしょう。よって、もし行きたい会社があるのであれば、その会社の社長や役員(あるいは彼らに出来るだけ近い方)と知り合いになり、見込まれるような行動を取られることをお奨めする次第です。

 決して、無数の人材紹介会社に登録をしたり、来もしないスカウトメールを待つ為に無駄に転職サイトに登録をしたりするようなことが最善ではないということもご理解頂けると思います。

  縁故による採用が実現した場合、採用される側のもう一つのメリットは、ゼロから人間関係を構築しなくてもよいという点でしょう。転職とは即ち、新しい会社に移ることですので、分からないことだらけです。それはどんなにキャリアを積んだ方でも、エンプロイアビリティの高い方でも同じです。その状況下で気軽に何でも聞ける方がおられるのは心強い限りです。

 早期離職の大きな理由が、「入社直後の上司、部下、同僚との人間関係構築に失敗した為」という方が多いことを踏まえると、縁故採用の場合、早期離職のリスクも低減されると言えそうです。

  一方、デメリットは、採用に尽力頂いたキーパーソンがその会社からいなくなると、「あっという間に」社内力学も低下するということでしょうか。この点は是非、ご注意頂きたいところです。よって、もし、縁故採用でどちらかの会社に入社できたとしても、早期で高いパフォーマンスを示して、そのキーパーソンの後ろ盾がなくても社内で一目置かれるような存在になることが必要でしょう。

  先日も「はしごを外された」とコメントを発する「エグゼクティブ」(とされる?)人材と面談をさせて頂いた当方からのメッセージです


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