20. 年収査定
どこの求人サイトや人材紹介会社のサイトでもある文言です。必要情報を入力すると、「無料で」求人サイト運営会社やその人材紹介会社の「プロのコンサルタント」が「適正年収」を査定してくれるというものです。
今の年収に不満を持っている人や、自分の市場価値を知りたいという方には、興味を引くサービスかもしれません。が、「査定」する側は何を根拠に査定をするのでしょうか。
「年齢」「学歴」「転職回数」「在籍した会社名」「英語力」程度をさっと見て、適当にフィーリングで決めてしまうのが実情ですね。ただ、人材紹介会社には、「どの会社でどれくらいの期間働いた方がどれくらいの年収になっているか」の情報は登録者データからある程度は判りますので、あながち的外れな「査定」にはならないと思います。
が、「人材紹介会社に入社してわずか1か月後に『年収査定』をした経験のある」当方は、「こんな適当な情報をこの求職者は何の参考にするのだろう?」と思いながら査定結果の返信をしたことを懐かしく感じる次第です。
勘のいい方ならお分かり頂けることですが、転職後の実際の年収(=給与)などは、転職してその会社で実際に働いてみないと分かるはずもありません。
「『年収』とは、『その人の1年間の働きによって勤務先にもたらされる期待される付加価値の結果』」ということを理解されている方は、おそらくこのような子供だましの「年収査定」には見向きもしないのでしょう。転職を考えた際に、
・転職先にはどんなマーケットがあるのか、
・その中で転職先の強みは何か、
・潜在的な顧客で取引できない所はどこか、それは自分(働く側)の人脈でカバーできるのか、
・新たに顧客を開拓できるリソースは自分にあるのか、等
といった転職先に「付加価値を提供する」ための想像は事前にできますが、確証は持てないでしょう。それを「年齢」「学歴」「転職回数」「在籍した会社名」「英語力」といった年収査定に入力される情報だけで判断するのは、いくら「ビッグデータ」や「未来シミュレーション」が進化した現代であっても無理難題以外の何物でもありません。