キャリアカウンセラーのメッセージ

「キャリア」「仕事」「就職・転職」に関する実情について、キャリアカウンセラーの立場から発信して参ります。

19. 年収600万円以上の求人増加中

 単純に求人件数だけを取り挙げた場合は、「増加中」というのは紛れもない事実です。ただし、ご注意頂きたいのは、その背景・理由です。人材紹介会社の営業が「年収600万円以上の求人」をターゲットにして営業しているからというのが最大且つ単純な理由です。さらに、その背景には「人材紹介会社の生産性を上げるために、成約単価の高い求人を獲得するという人材紹介会社内の方針」があります。

 間違っても、

「世の中の転職市場において、転職先には600万円以上出してくれる企業が増えている」、

「年収600万円以上の求職者に選択肢が増えている」、

「年収600万円以上の方が転職し易くなっている」、

といった根拠のない誤解や妄想はされないほうが身のためです。

 仮に、求人サイトや人材紹介会社のサイトに掲載されている「年収600万円以上」の求人にエントリーしても、前述の通り有効なエントリーは2割程度であって、残り8割は人材紹介会社内でふるいにかけられ門前払いになるという状況は、以前と何ら変わっていません。 

 そもそも、人材紹介会社や求人サイトに掲載されている「年収600万円以上」の求人も、どこまでが実在するのか疑わしい部分もあります。

 特に年収の高い求人になると、人材紹介会社側から「提案」をすることによって企業の人材ニーズを引き出し、「少しでも人材に困っている」、あるいは「営業部長なり技術部長などのポストが空いている」と人材紹介会社の営業社員が判断すれば、人材紹介会社の営業社員が求人票を作ってしまいそれをサイトに掲載するということもよくある話らしいです。

 語弊を恐れずに申し上げると、人材紹介会社扱う求人は、人材紹介会社の営業社員の意図でいかようにでもなるということです。

 「年収600万円以上の求人増加中」の真意は、成約単価を上げたいという自らの都合のために「年収600万円以上」の人材を集めたいという該当人材紹介会社の意図にあると言ってしまうのは穿った見方でしょうか。

 「世の中のうまい話には裏がある」という、先人の言い伝えを今一度肝に命じたいものです。


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