キャリアカウンセラーのメッセージ

「キャリア」「仕事」「就職・転職」に関する実情について、キャリアカウンセラーの立場から発信して参ります。

15. 人間関係

 職場や会社の「人間関係」とは古今東西、老若男女問わず、誰もが直面するテーマです。規模の大小問わず、複数の人が所属するのが「組織」というものでしたら、必ず異なる価値観や職業観に触れることになります。よって、「意見の相違」「話が合わない」「理解してくれない」、さらには「評価してくれない」といったことは、会社や組織の中では、実は日常茶飯事なのかもしれません。

 当方の勤務先のような小世帯の中ですら、約1名、日本社会の負の遺産であるバブル世代のどうしようもない「合わない」社員がいます。(が、当方にとって上長でも何でもなく無視すればよいだけですから、さほど負担にはなりませんが。)おそらく、人間関係を作るのが難しい人の存在というのは、組織で働く全ての人々にとって必ず付きまとうものなのでしょう。よって、それを理由に「転職活動を開始する」ことや「会社を辞める」ことの必要性も全くございません。

 にもかかわらず、職場の人間関係を理由に、会社を離れる人が多いのは何故か?ということは、当方も日々の業務の中で考えさせられます。大企業の役員人事ですら、結局は人間関係の産物ということも多々あります。一方で、多少仕事ができなくとも、失敗したとしても、働き方を間違っても、社内外で人間関係を構築で来ていれば、「必ず助けてくれる」方がおり、その方の支援の下で「挽回」「リカバリー」していったという例は、これも無数に聞きます。

 ここ数日来、触れています「働き方」「働くマインド」「人間関係」について、最も基礎になるのは「人間関係」であると思います。「働き方」や「働くマインド」が多少間違っていても、それを是正してくれる、あるいはそれをフォローしてくれる「人間関係」が社内にあれば、キャリア構築にはプラスになることが多いようです。一方で、いくら「働き方」や「働くマインド」が優れていても「人間関係」が社内にできていなければ致命的です。理由は簡単で、会社や組織は個人ではなく複数の集合体であるからです。

 特に入社時、異動時、昇進時(もしくは降格時)、そして転職・再就職時の「最初の3か月」、及び、「何か社内で大きな問題や逆境に直面した時」に人間関係をこじらせた、あるいは作り損ねた結果、その後のキャリアや会社人生に大きな「悪い」影響を与え、会社を辞める、転職を繰り返す「きっかけになった」方が多い昨今です。

 もちろん人間関係を理由に会社を辞めるのは個人の自由です。上司・部下、経営者などと人間関係をこじらせた、あるいは悪化させた中で、毎日業務を行うのは辛いです。が、悪化させた人間関係を回復させるのも、もしかすると、一つの「スキル」や「職業能力」かもしれません。

 職場の人間関係に困っている方がおられたとして、「それを理由に会社を辞める人」と、それを「人間関係構築力を鍛える機会と理解する人」とでは、その後のキャリアの作り方が大きく変わり途方もない差が付いてしまうということは、皆さまがお察しの通りです。

 「仕事」をする上での能力は、「仕事」をしないと身に付きません。我々カウンセラーの世界でも同様で、カウンセラーとしての能力やスキルは、いくら理論を学んでも、事例検討を繰り返しても、クライアント(人材紹介会社でいうと登録者=求職者)と接する機会を持たない限り、そのスキルは身に付かないとされています。人間関係を作る能力も同じです。人間関係構築力を身に着けるには、「人間関係」の中に身を置き続ける必要があります。且つ、最も人間関係構築力を身に着けるには、プラスでもなくゼロでもなく、マイナスの地点からスタートしたほうが「鍛えられる」のも事実です。

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