キャリアカウンセラーのメッセージ

「キャリア」「仕事」「就職・転職」に関する実情について、キャリアカウンセラーの立場から発信して参ります。

16. つぎの私は、プロとはじめる。

 今日、電車に乗っていたらドア上のステッカーに掲示されていた広告の文言です。

 何をはじめるのでしょうか。「つぎ」には触れていますが「いま」の私はどうでもいいのでしょうか。「プロ」とは誰のことでしょうか。疑問が尽きません。

 どこの会社の広告かは言うまでもありませんが、この手の会社は、「未来」「明日」「次」などと視線を先へ先へと向かせるように煽っているように見える次第です。「いま」に対して、しっかりと腰を据えて、頑張って、踏ん張って、全力で取り組まない人に、「未来」「明日」「次」は無いにもかかわらずです。

 もちろん、さっさと登録頂いて、さっさと(その会社が扱う)求人に応募いただいて、さっさと面接に行って、さっさと内定を取って、さっさと承諾して、さっさと入社して頂かないことには、その手の会社に現金収入が入ってこないビジネスモデルである以上仕方のないことかもしれませんが、一方で、不必要に人材を転職させることが、どれだけ社会にとって損失になっているかは眼中にないのでしょう。

 そもそも、「プロ」って誰のことでしょうか。キャリアカウンセリングやキャリアコンサルティングのプロはあらゆる場面や場所で必要かもしれませんが、転職支援のプロは必ずしも必要でないと断言できます。本来、転職も含めたキャリア構築の責任はその本人の自己判断、自己責任で行うべきものです。人材紹介会社のコンサルから頂くバイアスのかかったアドバイス等に惑わされる時間がいかに無駄であることか、そろそろ気付かれても良い時代でしょう。

 一方で、本当に必要なのは、社会復帰が難しい方、いわゆる社会のセーフティネットから漏れてしまった方、及び会社事情で辞めざるを得なかった方の「再就職」支援のプロでしょう。

 もし、今の職場に悩んだり、キャリア構築に困ったり、それこそ人間関係に悩んだりしたのであれば、最初に相談するのは「職を転がす」プロではなく、きちんとキャリアについて勉強し、カウンセリングのトレーニングを積んだ「プロ」のキャリアカウンセラーに相談するほうが効果的です。(厚生労働省によると、2015年3月末現在ですが、39,851人の標準レベルキャリア・コンサルタント等有資格者が日本国内にいるそうです。)

 間違っても、「つぎの私は、プロとはじめる」ことによって、結果が良くなることはそうないと思って頂いて結構です。当方がアドバイスとするのであれば、

 

・「つぎの」私と考える前に、「いま」の私について内省してください。

・「プロ」って誰のことですか。今、あなたの前に座っているその(人材紹介会社の)社員が「プロ」と言える根拠はありますか?

・新たに「はじめる」のではなく、「続ける」方法を考えてください。

 

といった感じでしょうか。

「ご登録者(=求職者)の職を転がし、自分だけ収入を得る」プロは、もうそろそろ、この現代社会から御退場願いたい次第です。

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