キャリアカウンセラーのメッセージ

「キャリア」「仕事」「就職・転職」に関する実情について、キャリアカウンセラーの立場から発信して参ります。

17. 人材紹介業界の管理職

 先日、当方の業務で、直近が人材ビジネス業界の管理職として勤務していた方が来談に来られました。不本意ながら業績悪化の会社都合により離職を余儀なくされたそうです。お話をお伺いすると確かに優秀な方であるのは伝わってきますし、人脈も豊富そうな方です。

 で、今後、どのようなキャリアを積みたいかを尋ねると、いの一番に出てきたキーワードが「営業管理」であり、続けて「営業企画、営業推進、経営管理事業企画、事業推進、経営補佐・・・・・」といった単語がずらりと並んだ次第です。

 ある程度、年齢も高くなり、相応の職位に就かれていた方なので、いまさら、飛び込み営業やテレアポ営業をするはずがないのは当方も理解していますので、その場はそれらの求人案件をご紹介して終わった次第です。

 が、やはり、人材ビジネスの管理職層たるもの「組織の中でしか仕事ができないのか・・・」と後味の悪い気分で終わった来談でした。言い換えると「会社や仕組みがないとエンプロイアビリティがゼロ」になると改めて理解した次第です。

 また、人材紹介業界において、大手になればなるほど高学歴やMBAホルダーなどの「頭のいい」方が多いようです。中途採用を活発化している会社もそのような方々を優先して採用活動を行っていると言う話も伺います。確かに、先ほどの方も含めて会社の仕組みを作ったり、組織の見直しをしたり、戦略を立てたり、マーケティングをしたりするのは上手な方が多いようです。

 しかし、それだけでは今の日本社会のニーズに応えるような仕事の類ではなく、日本型雇用が終焉を迎えて久しい日本社会への要請に応えるという仕事とはほど遠いような気がします。

 かつてグラミン銀行やダノンの例が取り上げられたことを覚えておられるビジネスパーソンも多いかと存じますが、社会問題の解決にビジネスの役割が大きいとされているのは疑いの余地のない所です。

 繰り返しますが、日本型雇用の終焉や人材流動化の必要性が叫ばれている現在、本来、人材紹介業界が社会に貢献できることは山ほどあり、そこでの管理職といった方々は、今までの知見や経験、人脈を活かして様々な場面で活躍頂きたいのですが、そのような気概のある方もいなければ、そのような能力を兼ね備えた人材もいないということでしょうか。

人材紹介会社の管理職を辞めて、次の仕事は「別の人材紹介会社の管理職」か「自ら人材紹介会社を作って代表取締役になる」というのも確かにキャリアパスの一つかもしれませんが、新鮮さに欠けるような気がします。

 さらに申しますと、その新しく作った人材紹介会社は他と比べて何が違うのかも判らないケースがほとんどです。さらには、「人材紹介会社への紹介に特化した人材紹介会社」なるものも現れているそうです。業界内で人を動かして、何の付加価値を提供することができ、誰が得をするのでしょうか。

 次世代の人材紹介業界を担う方々には、このようにならないような「働き方」をお願いしたいものです。


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