キャリアカウンセラーのメッセージ

「キャリア」「仕事」「就職・転職」に関する実情について、キャリアカウンセラーの立場から発信して参ります。

38. インテリジェンスHITO総合研究所

 人材紹介会社の大手とされるインテリジェンスという会社が作っているそうです。このような人材紹介会社系の調査部門や研究所らしきものが、何らかの情報を発信しているところが最近増えているような気もします。

 その中で、色々な調査やレポートなどを出しているようですが、何の目論見があってのことか首を傾げたく次第です。

 おそらく、自社の広報や宣伝以外の何物でもないと思いますが、そのようなことは専門家や公的機関にお任せして、

 

「人材紹介会社は(当方も含めて)求人を開拓することに注力すれば宜しい」

 

のではと思う次第です。さらに申しますと玉石混交の人材紹介会社が出すレポートの中に、必ず「求人動向」や「登録者状況」といった項目もあるのですが、それも「自社の宣伝」以外には全く役に立たない代物でしょう。

 月例で日経新聞の記事にもなる「中途採用の求人増加率」といった数字についても、日本社会「全体の」雇用に関する求人や採用を反映しているのかは疑問です。インテリジェンスという会社が受ける求人だけ、あるいはインテリジェンスに登録される人数だけを基に計算しているのであれば、それが何を意味するかは凡人の当方には全く判りません。

 そもそも、インテリジェンスに求人を出している会社が日本国内に存在する全ての企業の何%でしょうか。あるいはインテリジェンスを経由して採用している会社が全企業の何%でしょうか。あるいはインテリジェンスに登録している求職者は全体の何%でしょうか。これらを踏まえると、実に狭い範囲で、せせこましく数字を出しているだけの話にすぎないと思わざるを得ません。

 よって、そのようなシンクタンクの「ようなもの」を作っても、何ら日本社会に貢献しているものとは言えず、人材紹介会社の社会的地位が上がることもないというのが、まっとうな業界人の意見です。

 ましていわんや営業会社の急先鋒のような会社が出すレポートや調査だけに白々しく聞こえると言えば過言でしょうか。

 無論、そのシンクタンクの「ようなもの」が何かノウハウがあって、外販することによって収益を産めるくらい素晴らしい頭脳集団であれば別です。ただ、人材紹介会社関連の書き物など、「数年程度」業界で経験を積めれば書ける程度のものばかりです。例外は「ワークス研究所」くらいでしょうか。

 ただ、残念なことにワークス研究所の研究員も、なぜかリクルートを退社すると「ただの人になってしまう」ように見えてしまうのは当方だけではないと思います。まだまだ、この業界全体の問題として「本当に必要とされる社会のニーズに、業界全体が持つノウハウも追いついていない」という問題意識は持つべきでしょう。

 よって、日本政府と同じように無駄な組織を立ち上げるだけのではなく、繰り返しになりますが、1件でも多く求人を開拓し、1件でも多くの正しい再就職の実現にコツコツと地道に注力すべきです。

 形だけのシンクタンクや研究所などは不要というのが当方の主張です。


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