キャリアカウンセラーのメッセージ

「キャリア」「仕事」「就職・転職」に関する実情について、キャリアカウンセラーの立場から発信して参ります。

39. 転職のプロ

 世の中には様々な「プロ」が存在しますし、時には憧れの存在になる「プロ」も相当数おられます。しかし、標記にございます「転職のプロ」は、尊敬や憧れの対象になりうるのでしょうか。さらに申しますとこの世の中に蔓延る「転職のプロ」とはどのような存在なのでしょうか。

 巷の転職サイトや転職本には、自称「転職のプロ」がうっとうしいくらい存在します。中には、ご丁寧に写真付き・実名付きで「転職のプロ」を名乗る昆猿、いや失礼、コンサルも相当数存在します。彼ら彼女らのような「転職のプロ」は一体何をしてくれるのでしょうか。また、どのようにこの現代社会に貢献してくれているのでしょうか。

 結論から申しますと、「何もしていません。」

 もちろん、働き方について指南して頂ける人、キャリアを考えたうえで相談に乗ってくれる人、仕事をするうえで困ったことがあった場合に助けてくれる人というのは、この不確実な時代には間違いなく必要です。

 ただ、それは同僚であり、上司であり、家族であり、友人であり、キャリアカウンセラーで十分に事足りる話です。もし、これらの方々に相談すらできないような困ったことがあった場合でも、間違っても、即、「転職のプロ」に相談に行くのでは「なく」、そこに至った背景や原因を、再度ご自身で考えるプロセスが必要です。

 そもそも、自分自身の人生に関わる「仕事」「キャリア」「働き方」といった大事な、大切な、重要なことにもかかわらず、そのような身近な人に相談すらできないというのは、何か「別の問題」があるのではと思いたくもなります。そしてそのような方こそ、今の会社を辞めるべきではないのは明らかです。

 「転職のプロ」は、確かに転職活動における経歴書類の書き方や、面接突破方法などのノウハウは持っているでしょう。ただ、あくまでもそれは対処療法に過ぎないというのは冷静になれば誰でも判ることです。

 ほとんどの方の場合、どのように転職をすべきかではなく、「どのように働くか」のほうがはるかに大切なはずです。さらには「どのように組織で自らを位置づけるか」「どのように(その会社に対して)自らの労働によって付加価値をもたらすか」のほうが、もっと重要です。 

 この課題に対して、真摯に回答できる「転職のプロ」は皆無です。なぜなら、「転職のプロ」自身も、そこまで考えて働いたことがないからというのが理由です。彼らにとって、「組織でどのように働くか」というのは、さして重要ではありません。その結果として平均在籍年数が短い(=何かあればすぐに辞める)、あるいは転職歴も多いということが共通項に挙げられるくらいです。

 また、該当業界出身の「転職のプロ」も笑止千万です。正確には

 

「該当業界で勤続できないから、人材紹介会社に行かざるを得なかったプロのような人」

とでも言っておきましょうか。

 当方の知人で、キャリアカウンセラーの「プロ」は無数におられます。自らの努力と人脈構築と学習によって、今の地位を築かれた尊敬すべき師や友人も全国に多数存在します。もし当方の知人や家族や友人が「仕事」「キャリア」「働き方」について悩んでいるのであれば中立的なキャリアカウンセラーへの相談をお勧めするのは言うまでもありません。

 ただ、それでも日々、自称「転職のプロ」のもとに相談に行かれる方々がまだまだ多数存在するということからも、ある意味、日本社会の平和さを実感する次第です。


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