キャリアカウンセラーのメッセージ

「キャリア」「仕事」「就職・転職」に関する実情について、キャリアカウンセラーの立場から発信して参ります。

43. キャリア解釈の二面性

 当方の理解では、キャリアに対する解釈は「きわめて主観的であるべき」で且つ「後から振り返って意味づけられる」ものあるというものです。よって、いくら人材紹介会社のコンサルごときを含めた他人がどのように解釈しようと、「本人が納得すればそのキャリアは少なくとも『是』である」と考えています。

 ただし、実際は、その解釈や位置づけうんぬん言う以前に、仕事で「収入」を得なければなりません。よって、生活ができなくなる、あるいは収入が途絶えるようなキャリアの積み方は、いくら本人の解釈が「是」であっても、周囲(特に家族)に迷惑をかけるという点では「否」にならざるを得ないのも現実です。

 また、キャリアの解釈については、当然、主観と客観の二面があるのも事実です。一つの会社で定年まで勤続できる保証や確信がある場合、あるいは、本人の意志「だけ」で仕事が成り立つ、あるいは生活に足るだけの収入が継続して得ることができる場合は、キャリアの解釈は主観のみで全く問題ないでしょう。問題は、そうでない場合、特に転職や再就職、あるいは職種を変えるなどのキャリアチェンジの場面に遭遇した場合です。

 この場合の「主観的な」キャリアの解釈は全く意味を成さないでしょう。なぜなら、転職や再就職の場面(あるいはキャリアチェンジの場合もそうですが・・)では、明らかに採用する側に主導権があるからです。この場面で優先されるのは「客観的な」キャリアの解釈です。

例えば早期離職を繰り返した方がおられたとして、本人がそのキャリアを

 

「多くの会社で様々な場面で経験を積めた有益な期間」

 

と解釈しても、客観的な解釈では、

 

「自分を組織に合わせることを知らない人物」

 

と断定されてしまうのは明らかです。転職市場においては、主観的なキャリア解釈はほとんどの方は意味を成さないと思って頂いて結構です。(よほど業界で名前の通った方や、職人などは別ですが、彼ら彼女らには転職の場面でも、転職「活動」というものは存在しませんので。)

 主観によるものと客観によるものという、キャリア解釈における二面性を理解して転職や再就職活動に臨める方は、転職活動には苦労されないケースが多いようです。一方、主観的なキャリア解釈のみに基づき転職活動を行うと、ミスマッチや、転職活動の長期化・離職期間の長期化、結果として転職市場における市場価値の著しい低下、さらに転職や再就職活動の長期化といったリスクを伴うことになるでしょう。

 なので、転職や再就職の場面に遭遇した場合には、極めて信頼できる第三者に客観的なキャリア解釈の支援を受けていただくことをお薦めする次第です。間違っても、人材紹介会社の人集めキャッチコピーである「年収査定」といった浅はかなものでなく、あくまでもキャリアの「解釈」を客観的に行うというレベルです。

 もし、人材紹介会社をそのように利用される方が多くなると、当方の仕事も面白くなるかな?というのはあくまでも当方の私見ですが、失敗する転職活動が感じ取れる履歴書を拝見すると、先に手を打てなかった不運を気の毒に感じる次第です。


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