キャリアカウンセラーのメッセージ

「キャリア」「仕事」「就職・転職」に関する実情について、キャリアカウンセラーの立場から発信して参ります。

9.「ハイクラス求人」「ハイクラス人材」

 誰が作った造語かは存じ上げませんが、年収が800万円とか1000万円頂ける可能性のある求人を「ハイクラス求人」と言い、同じくらいの年収を頂けている方を「ハイクラス人材」とか「エグゼクティブ人材」「エグゼ人材」という「らしい」です。これも人材紹介会社の募集広告や、ヘッドハンティング会社の広告、あるいは一般の求人サイトまで、そのような単語を目にします。

 人材紹介会社からすると、高い年収の方に、その会社経由で転職を頂いたほうがより高い手数料を得ることができますので、そのようなチャンスを得るべく、高年収人材の人集めに邁進しているという事情が背景にあるのは前述の通りです。

 さて、ヤフーやグーグルなどの検索サイトで「ハイクラス求人」と入れて検索すると250万件以上ヒットします。世の中、そんなに多くの「ハイクラス求人」がある訳では決してないですが、優秀な人材に対する採用ニーズは景気が良かろうが、悪かろうが、会社の希望の大小問わず存在するのは事実です例えば1億円の付加価値を会社に提供して頂けるのであれば、決して1000万円の給与(に加えてその方を雇うのに必要な人件費)をお支払いするのも全く問題はないと考える経営者は多いでしょう。

 一方、問題は「ハイクラス人材」です。そもそも年収が800万円以上の方=「ハイクラス人材」(もしくは「エグゼクティブ人材」や「エグゼ人材」。以下同じ。)という図式が成り立つかどうかも疑問ですが、本当の「ハイクラス人材」は、おそらく人材紹介会社や求人サイト、あるいはヘッドハンターを使っての転職や再就職などしないというのが当方の認識です。(これも先日触れた通りです。)

 実際に、とある求人サイト運営会社に勤務する方から伺った話ですが、その求人サイトに掲載している「ハイクラス求人」にエントリーする「ハイクラス人材」のマッチ率は2割以下だそうです。つまり、「ハイクラス人材」のうち、およそ8割は転職時に門前払いされる集団と定義されると言えば過言でしょうか。そもそも、「ハイクラス人材」を定義付ける要件は、現状、「年収」(あるいは給与)しかないのですね。ある意味仕方のないことかもしれませんが、だから「年功序列賃金の産物で得た給与」、「その会社に入社できたから得ることができた給与」「優秀な部下やスタッフに囲まれたから得た給与」を自らの市場価値と誤解して、「自分はハイクラス人材」などという幻想に陥ってしまうのでしょう。

 「ハイクラス人材」を定義付ける要件が「年収○○○万円以上」でなく、「自らの労働あるいはネットワーク、人脈によって○○○○万円以上の付加価値を提供できる人材」となれば、より正確な「ハイクラス人材」の抽出が可能になるでしょう。このことが理解できない、あるいは許容できないような「ハイクラス人材」は、間違っても転職など「すべきではない」と、「ハイクラス人材」の無数の転落例に接する当方は断言する次第です。

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