キャリアカウンセラーのメッセージ

「キャリア」「仕事」「就職・転職」に関する実情について、キャリアカウンセラーの立場から発信して参ります。

32.「ブルーオーシャン」的求人獲得の方法(5)~企画書作成 その1~

 見込みリストに掲載されている企業の採用窓口が判明したら、次は「企画書」作成です。もちろんお判りかと存じますが、「企画書」とは自分という商品をセールスするための履歴書や職歴書のことです。

 営業の経験のある方で、特に高額商品を法人向けに売っていたことのある方であれば、なんとなくイメージがつくでしょうが、最終的に顧客から受注契約を取るためには顧客のニーズや要望を踏まえた企画書や見積書などを作成するはずです。

 それと同じ位置づけで考えるのであれば、履歴書や職歴書は、「自分」という商品の企画書や見積書と同じ役割を果たすわけですので、顧客(つまり採用企業側)のニーズや要望を反映させたものでないと「意味がない」というのが当方の認識です。

 無論、「20代後半から30代前半、東証1部上場企業1社経験、在職中、有名大学卒」といった履歴書だけで難なく書類選考を通過する方であれば、共通の職歴書の使い回しで全く問題ありません。が、ここで対象となっているのは「求人の無いところに自らの採用を働きかけようとする」方々が対象ですので、そんなはずはありません。

 よって、まずは、

 

「職歴書は応募先企業に合わせて、個々に作成する」

 

という大前提が必要です。しかも、応募先企業の「ニーズや課題としている部分」、もしくは「弱点」に対して、「自らの経験やスキルが合致し、貢献できる」ことをイメージさせるものを作成しないと無意味です。

 それは、販路(領域内のシェア)拡大、売り上げ増加、組織構築、マネジメント強化、新商品企画・開発、コストカット、資金調達、新技術導入、生産工程改善、原価低減など対象となる部分は無数にあります。

 それぞれの応募先企業のどの部分で、自らの経験が活かせるのかを「こちらから提案しアピールする」必要があります。なので「企画書」の位置づけになるわけです。無論、相手のニーズや課題を理解するために、相当の下調べが必要であるのは言うまでもありません。(できる方なら、ファーストコンタクトの電話の際に、そのような課題やニーズまで聞き出すそうです。)

 しかしながら、現在の転職活動や再就職活動は「○○ナビ」や「○クルートキャリア」「○ンテリジェンス」といった人材紹介会社という便利なものが存在し、ワンクリックやメール1本で10件や100件の企業に「共通の職歴書」で応募ができる時代です。

 ただ、考えて頂けましたらお判りいただけると思いますが、できる営業職の方が10社なら10社分、同じ企画書で商談に臨みますでしょうか?発注する立場からすると、完全にコピーと判る多数の企画書や見積書の中に、1部、完全にオーダーメイドと判る企画書があれば、まっとうな感覚の方なら、少なくとも視線はそちらに向かうのではないかと思われます。

 これは、意外と時間のかかる作業です。が、これを「面倒」とか、中には「職歴書を作成するのが人紹(人材紹介会社の略です)の仕事やろうが!」と世紀末な発言をする方も過去におられましたが、本当に「人生がかかった書類」なら相応の手間と時間をかけて然るべきです。また、求人の無いところにせっかく電話でコンタクトを取って、送る書類なのですから、これくらいの労力や時間はかけて当然でしょう。

 その他、相手先に応じて時系列で書くのがよいか、逆時系列で書くのがよいか、あるいは職能別のほうが良いのか、個々の勤務先の記載割合ははどうなのか、フォント、罫線、太字、下線などはどうすべきか、といったことについては、巷の書店に並んでいる「職歴書の書き方」などの指南書をご参考頂きたく存じます。無論、志望動機を職歴書に盛り込むことなどは、当然の話です。

 次回に続きます。 


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